番大和医師は国立徳島大学医学部を卒業後にNTT東日本関東病院で消化器内視鏡に出会い、そのエキスパートになることを志し、東京慈恵会医科大学内視鏡科(現 内視鏡医学講座)に入局しました。
入局後は消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)を専門として診療・研究を行い、平成28年からは当院内視鏡部の一員となり私どもと一緒に内視鏡診療を行ってきました。消化器内視鏡診療は大きく診断と治療に分かれます。
内視鏡診断では、番医師は通常のスクリーニング検査から最新鋭スコープを用いた画像強調拡大観察による早期がんの精密検査まで2万5千件を超える膨大な臨床経験を有しております。番医師の内視鏡検査は丁寧かつハイクオリティであり、粘液を十分に除去し鮮明で明るく美しい画像ですみずみまで見落としなく観察します。
5ミリ以下の胃がんを微小胃がんと言いますが、番医師は微小胃がんを多数早期発見しており、カンファレンスで彼の見つけた微小胃がんを見ては驚いたものです。内視鏡治療は番医師の最も得意とする分野であります。周到な治療計画と精巧な技術を用いて、大腸ポリープ切除術はもちろんのこと、早期の食道胃大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の専門家として800件を超えるがん患者さんの治療を安全かつ確実に行ってきました。このがん治療経験の蓄積は、Cancer Hunterとしての彼のさらなる診断能向上にも役立っているようです。また、番医師は180㎝を超える偉丈夫ながら教育熱心で後進の育成にも尽力しておりました。人望があり自信に満ちた内視鏡名手である彼の元には、“内視鏡のプロフェッショナル”ならんとする若く優秀な内視鏡医が常に集まっていました。
私は、少壮気鋭の内視鏡医である番医師が今後益々当院で活躍することを期待しておりましたが、番医師は“大学病院レベルの内視鏡検査をもっと身近なものに”との夢をかなえるべく、当院を離れ南柏消化器内科・内視鏡クリニックを開設することになりました。当院は、かかりつけ医と協力連携して2人主治医制をとり早期診断から治療まで一貫して行うことを目標としています。今後は南柏消化器内科・内視鏡クリニックと緊密に連携し患者さんに質の高い内視鏡診療を提供したいと考えております。胃や腸の消化器症状があったり、がん年齢となり内視鏡検査によるヘルスチェックを希望される方は、南柏消化器内科・内視鏡クリニックを受診されることをお薦めします。
東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部 診療部長・准教授
荒川 廣志